白石はその説明ではじめて、茫ばくとした天空に浮かぶ球体である地球というものを実感出来た気がしたのである。その地球は、いまも思い描けば青黒い宇宙のなかに日の光をうけて静かにうかんでいる。想像の中のその光景は、なぜか白石に思わず微笑したくなるような、たのしい気分をはこんで来るのだが、それが理というものが持つたのしさだということを、白石は理解していた。

藤沢周平『市塵』より

 

 

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